貧血が進行すると、(とくに体を動かした時に)動悸や息切れなどの症状が出てきます。しかし、貧血が少しずつ進行する場合には、体がその変化に順応して、症状はなかなか現れにくいものです。
たとえば、子宮筋腫やホルモンバランスの異常などが原因で、月々の月経量が多くなることがあります。そのような場合、毎月徐々に貧血が進行していき、動悸や息切れが気になり始めた頃には、正常の半分ぐらいにまで血がうすまっているような、重症の貧血状態に陥っていることがあります。もし大量の出血が一時(いっとき)に起こって、急激にこれぐらいの貧血になったら、生命の危機的状況です。人体の適応能力には感心するばかりですが、そんな状態になるまで放っておかずに、もし月経量が多くなってきたような自覚があったら、早めに婦人科を受診しましょう。また、定期的に貧血検査(血液検査)を受けることも大切です。ちなみに、子宮筋腫が原因で貧血になるのは、筋腫があるために月経量が多くなっている場合(※)だけで、ただ筋腫があるというだけで貧血になるわけではありません。
ちなみに、頭がくらくらする症状を「ひんけつ」と表現される方が多いのですが、これは疲労や血圧の低下などに伴う脳の一時的な虚血症状である場合が多く、赤血球や血色素(ヘモグロビン)の減少に伴う「貧血」とは無関係です。
※ 筋腫が子宮の内腔に向かって発育した場合(子宮粘膜下筋腫)や、筋腫の発育によって子宮全体が大きくなり、内膜(生理の時にはがれ落ちる場所)が引き延ばされて体積が大きくなった場合など